昨今の日本、鹿児島の陽性者の傾向

2014-06-07

2011年のHIV陽性者およびエイズ患者数

全世界に約3,420万人のHIV陽性者およびエイズ患者が存在 (Global AIDS epidemic facts and figures)しているとされています。

日本におけるHIV陽性者数・エイズ患者数の動向
日本においては、2011年の新規HIV陽性者数は1,056件、エイズ患者の報告数は473件ありました。累計も20,000人を越えており、日本でも陽性者・患者が増加しています(図1を参照)。
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図1.日本における新規HIV陽性者数と新規エイズ患者数の推移

鹿児島県におけるHIV陽性者・エイズ患者数の動向

なお、この増加傾向は、都市圏だけでなく地方においても同じ傾向がみられます。鹿児島県においても同様で、新規HIV陽性者数、新規エイズ患者数とも増加傾向にあります(図2を参照)。

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図2.鹿児島県における新規HIV陽性者数と新規エイズ患者数の推移

鹿児島県において、平成24年3月現在では、HIV陽性者とエイズ患者の累計が97人となっています。しかし、これは鹿児島県が把握しているだけの人数であり、HIV陽性者であるもののそれに気付かずに生活している方も含めると、統計的な試算では、鹿児島県内にはHIV陽性者だけでも400人以上存在するのではないかと推測されます。

鹿児島県におけるHIV陽性者・エイズ患者の傾向

平成23年度鹿児島県エイズ対策連絡協議会の資料によれば、鹿児島県におけるHIV陽性者とエイズ患者(94人)の報告を分析した結果、以下のようなデータが示されています。

1.性別・国籍からみた割合

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このグラフから、HIV陽性者およびエイズ患者は男性の割合(日本人と外国人の合計)が87%で多いことがわかります。

2.年代別にみた割合

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年代別にみると、20代、30代、40代、50代で比較的多く、20~50代で全体の95%を占めています。

3.感染原因別にみた割合

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半分近くが同性間の性的接触によってHIVに感染しており、異性間の性的接触も含めると、75%が性的接触によって感染していることがわかります。
また、感染した原因がよく分からないという回答も20%と多い状況です。

感染リスク

米国疾病管理予防センター(CDC)が公表している週間疾病率死亡率報告(MMWR)によれば、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染するリスクが以下のように示されています。
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MMWR Jan 21,2005;54(RR02)

◎ 予防措置なし(コンドームを使用しない)の膣性交で男性(Male)から女性(Female)に感染するリスクは、0.1%、女性から男性に感染するリスクは0.05%ということです。意外と低く感じると思いますが、これをそのまま鵜呑みにするのは注意が必要です。
HIVが性行為によって感染する場合、皮膚の薄い部分(粘膜など)から体内に侵入してきます。つまり、皮膚(粘膜)が傷ついていたり炎症を起こしていたりして弱っていると、HIVはそこを通過しやすくなりますので、より感染のリスクが高くなるのです。よって、性感染症等にかかっている場合は、感染リスクが高くなります。

◎  予防措置なしの肛門性交では膣性交よりもリスクが高いですが、肛門は非常にデリケートな皮膚で傷つきやすいため、性器等の挿入によって傷つくことが多く、HIVが体内に入り込みやすくなります。また、男性同士の肛門性交では妊娠するリスクがなく、コンドームを使用しないことも多いため、男性間での肛門性交は感染リスクが高くなっていると考えられます。
コンドームを使用することで、感染リスクは限りなく0%に近いレベルに抑えられるとされています。

◎ 針刺し事故というのは、HIVの治療にあたっている医療スタッフが、HIV陽性者に使用した注射器の針などを誤って自分に刺してしまったりするといった事故によるリスクです。

◎ 予防措置なしの分娩による母子感染は、感染リスクが高くなっています。この「予防措置なし」というのは、HIVの増殖を抑える薬などの使用によって血中のウィルス量を少なくするといったことなどをしていないという意味です。
現在ではHIVの増殖を抑え、血中のウィルス量を低める優秀な薬があるため、それらを服薬したり、帝王切開で出産したり、母親(HIV陽性者)の母乳を与えずに粉ミルクなどで育てるなどの対応をすることによって、母親から子どもへの感染リスクは1%以下に減らすことができると言われています。

◎ 輸血などの血液製剤の投与というのは、HIVの交じった血液を輸血するなどして、体内にHIVが侵入してしまった場合の感染リスクです。

HIVの増殖のメカニズム

HIVは体内に侵入すると、CD4陽性細胞という人間の「免疫」を担っている細胞に感染します。そして、その細胞の中でどんどん増殖し、その細胞から出ていきます。感染したCD4陽性細胞は数日のうちに破壊されてしまいます。こうして、どんどんHIVは増え、逆にCD4陽性細胞は減っていきます。

CD4陽性細胞が減るということは、「免疫」力が低くなるということです。私達が、日々の生活の中で空気中に舞っている細かなカビや菌、ウィルスなどを吸い込んだりしても、このCD4陽性細胞がこれらをやっつけてくれるため、身体の中にカビが生えたり、病気を発症したりすることがないわけです。しかしその役割を取っているCD4陽性細胞がどんどん少なくなっていくと、こういったものを退治できなくなるので、身体の中にカビが生えたり、菌やウィルスによって病気を発症したりしまうということが引き起こされます。

このように、CD4陽性細胞が減った結果、免疫力が低下し、ある特定の病気や疾患を発症した状態をAIDS(後天性免疫不全症候群)と言います。

治療 HAART(Highly Active Anti-Retroviral Therapy)について

HIVが体内で増殖していくメカニズムについて上に述べましたが、HIVが増えなければCD4陽性細胞も減らずに済み、免疫力が大きく下がるということは避けられます。

現在では、HIVがCD4陽性細胞に感染し増殖するメカニズムがかなり解明されてきており、そのプロセスを邪魔する薬がいくつも開発されてきています。

これらの薬を、各人の症状・体質に合わせて組み合わせて投与し、ウイルスの増殖を抑えAIDS (後天性免疫不全症候群) の発症を防ぐ治療法のことをHAARTと呼びます。20数種類の薬剤から3~4種類の薬剤を組み合わせて、1日1回~2回服用するというのが主流です。

この治療法によって、HIVに感染しても、以前言われていたような「すぐに死ぬ病気」ではなくなりました。

しかし、HIVは薬に対する耐性を持ちやすいという特徴があります。つまり、薬を飲み忘れてしまうことによって、ウィルスにその薬が効かなくなってしまう可能性もあるのです。よって、治療においては、「決まった時間に決まった薬をきちんと定期的に飲み続ける」ということが非常に大切なこととなります。

○ただし、現段階では生涯に渡って服薬が求められます

・服薬治療で、1日1回~2回の服薬が主流です。

・HIVは変異を起こしやすく、服薬をし忘れると薬剤に耐性ができてしまう(薬剤が効かなくなる)場合があるので、100%の服薬率が望まれます。

※下のグラフは、横軸に服薬率、縦軸に治療成績を記したものです。

例えば、1日1回の服薬をしなければならないHIV陽性者であれば、1ヶ月(30日)に30回服薬することになるわけですが、そのうち2回(2日)飲み忘れてしまうと服薬率が93.3%(28/30×100)になりますので、治療成績は45.4%以下になってしまうということです。治療成績が下がるというのは、服薬している薬が効かなくなり、使えなくなってしまう可能性が高まるということです。

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Paterson et al. Ann Intern Med. 133:21,2000

○治療にかかる負担

・全額負担で月に15万~20数万円程かかります。その他、合併症のある場合はさらにその治療費がかかります。
・身体障害者手帳が交付されれば1割負担、最大で月に2万円で済みます。
・HIV感染者の7割が身体障害者手帳を申請しています。

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